top of page
執筆者の写真Mitsuki

ボードゲームでショートショートを書く『文SHOW!』プレイログ Vol.4

更新日:2020年12月3日





10月14日(水)16:30~18:00


使用したボードゲーム

『インサイダーゲーム/インサイダーゲームブラック』


参加人数3人




初めての対面、かつ初めてのオンラインでの外部参加。
今回は超短編を超量産するという企画のもと、
文芸みぃはぁ名物企画『文SHOW』を行いました。
いつものようなクイズ形式ではないですが、文章って面白いとおもっていただける作品ばかりになっています。お楽しみください。



Mituski 作


『原始人』

インターネットが使えない。Amazonで注文ができない。HuluもAmazon Primeも分からない。友達たちにそう言うと、友達たちは同じ言葉を返す。

馬鹿にするな、火は使えるわい。電子機器だってな。文字ももちろん読める。それなのに猿と同じような言い方をしなくても。

けれど、あまり悪い気もしなかった。

それどころか少し嬉しくもあった。文明の利器にとらわれないことを美学としてとらえて、そこに野性味を感じるし、漢字だけ見ると『はじまりのひと』である。まるで人間の本質めいたところのみで生きている感覚がするのがいい。

 ただ、ファッション的にこしみのだけなのはどうしてもいただけないけれどね。


『雪男』

この名前をつけた親を僕は許さない。冬生まれなのは偶然だ。けれど僕は冬生まれだっていうのに、寒がりで冷え性で、しかも家が学校から遠方だから、通学はバイクになる。だから必然的に人よりたくさんの服を纏って、通学することになる。

着る服で一番前、つまりは人目によく触れるところに白いモフモフの服を着たら、それこそ名前を体現しているわけなので笑い者だ。緑だとモリゾーかキッコロか、スーモと言われてしまう。自分が少し人より図体がでかいせいもあるだろう。

それなのに今日は急いでいて、つい白い服で来てしまった。バイクをもうだいぶはしらせてからきづいてしまったのだが、それからは気が気でなかった。

気を取られていたせいで、前から来たトラックに気づくのが遅れてしまい、躱そうとしてスリップした。体が車外に投げ出され、ほどなくして地面におちる。視界の隅でトラックが止まり、中から人が出てくるのが見えた。

彼は始めこそ心配そうな顔をしていたが、すぐに恐怖に染まっていく。

「いえ!……」そのあとは気を失って聞こえなかった。


『なわとび』

入るのがこわいものがいくつもある。

押入れ。うすぐらくて少しだけ畳臭い。中のゆかは畳じゃないから、多分これはふすまと中に入っている布団の匂いのミックス。

リフト。落ちたらどうしようって思っていたけど、暴走する海外のリフトをみて、よけいにこわくなった。

ジェットコースターをはじめとした上って落ちるタイプのアトラクション。なんていうか問答無用でこわい。

こっくりさんやかもめかもめ。呪われる気がするし、呪われる気がする。でも、入らないとハブられるかこれは入った。でもとってもいやだった。

同じような者で、はないちもんめ。入ってもハブられるようなことがあったし、なにより最後まで残ると傷つく。

でもそれらは実際に痛みがないし、実際に落ちることなんてまぁないし、呪いも多分ないし、最後まで残った痛みもまぁ耐えられる。

それらより一番いやなもの、入るのがこわいもの。

当たると痛いし、これに至っては高確率で当たる。少なくとも私は当たる。それに失敗したとき、呪いのような目で見られるのもつらい。

一人ならいいけど、みんなでやるタイプのは絶対に入りたくない。

後ろから急かす声、今、今! という人、バシッバシッという音、それらがさらに入るのをこわくさせているのだと、いつになったら分かってもらえるのだろう。



大内 



『運転免許』

お土産を買って戻ってきたときに気が付いた。ない。どこにもない。どうやら忘れて来てしまったらしい。もし、それを気付かれたならば大問題だ。今日の夜見たいテレビを見ることだって、明日いつも通りに会社に行くことだって、友人にこのお土産を渡すことだってできなくなってしまうかもしれない。ただ忘れ物をしただけというのに、身体中から汗が湧き出てくる。早く帰ってしまおうと思ったとき、視界にあるものが目に入った。よく知っているものだった。白黒の二色のそれは、どこからどう見てもパトカーだった。まずいと思い、気付かれない内にと、そそくさとサービスエリアから走り去った。


『花びん』

気が付いたときには目の前に旦那の死体が転がっていた。実感はあまりないが、どうやら自分がやってしまったらしい。発端はなんてことない夫婦喧嘩だったのに。今更悔やんでも仕方ない。とりあえず、びしょひしょになった袖で散らばった破片を拾う。床に散らばっているものを取り除いたところで、今度は旦那の頭についているものと赤い小さな植物の破片を取ろうとする。これらは元から赤だったろうか。それとも血で赤くなってしまっただけだろうか。若い頃、旦那が誕生日に買ってくれたものだったと思うが、もう元の色は思い出せなかった。


『ぬりえ』

肌の色は緑、髪の毛は紫、口の中は青。形こそ普通の人間、普通の男の子であるが、それは人間と呼ぶにはあまりにもおぞましい。となりにいる女の子はといえば、髪は黄色で目も黄色、全身で黄色くないのは口だけで、その口も黒という、これまたおぞましい姿である。これを、才能であると我が子を褒めるべきなのだろうか、それとも異常だと我が子の将来を心配すべきものなのだろうか。



文芸みぃはぁは毎週水曜日16:30から19:30まで、ボードゲームを使って書いたり、読書会を行ったりと読む力と書く力をつけるような活動をしております。
オンラインでの参加も可能ですので、TwitterのDM、またはホームページのお問合せにご連絡ください。
皆様の参加、素敵な文章をメンバー一同楽しみにしております!

また、現在↓のイベントを企画しております。
参加希望まだできますので、こちらもDMもしくはこちらのホームページ内下部の予約フォームよりお願いいたします。
オンラインでの参加は、現在検討中です。たくさん要望がありましたら実施しようと思っておりますので、まずはお声かけください!


今日からあなたも文芸みぃはぁ!


・。・


閲覧数:34回0件のコメント

Comments


記事: Blog2 Post
bottom of page