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執筆者の写真Mitsuki

読書会 Vol.18 田中ドリル著「仲が悪すぎる幼馴染が、俺が5年以上ハマっているFPSゲームのフレンドだった件について。」




参加人数 4人


目次

・選んだ理由

・感想

・好きなキャラクター

・好きなシーン

・その他意見

・今回の読書会の感想


選んだ理由

ライトノベルを多く読んでいるメンバーが選本しました。

その他メンバーは純文学好き、ノンジャンルで読むもの、あまり小説を多く読んでいないものがいました。

選本したメンバー曰く、「ジャケットで買って当たりだった」とのこと。

久しぶりの読書会。いきなり難しいものをやっても、という意見がありライトノベルを選びましたが、ライトという言葉はどこへやら、とても深い読書会になりました。


その模様をご覧ください。



感想

・読み終わってすぐ、続刊の発売を確認し、ないことに絶望した。

・日常パートとゲームパート、青春映画とアクション映画のような読書体験を両方を体感することができて、個人的に新しく感じた。

・2Nのことを幼馴染の女の子だと主人公は気づいているが、動画のコメント内では、同性カップルと揶揄されているシーン、細かいところまで考えられて書かれていると感じた。

・俺TUEEEものに入るのではないか

・近年稀に見る素直な性格の主人公にまず好感を得た。

・主人公をカメラ役に置き、それぞれのキャラをしっかり見せられている。そのため主人公が語り手でありながら地の文で多く話しても、すっと入ってきた。

・FPSの説明バランスが良かった。最初から最後まで説明するものでも、難しすぎる話でもなくて、FPS未経験者でも楽しめた。メンバーの中には実際にFPSを始めてみる人もいたので販売促進本とも言えるのではないか

・映像が有利な戦闘シーンだが、この小説は退屈しなかった。それは分かりやすく動きのある文章で、頭のなかでイメージしやすかったからだと思う。

・スポーツ小説特有の、練習パートと本番パートに近い作りをしていた。練習パートでは、葛藤や衝突があり、本番パートではまた新しい葛藤や衝突を生ませる、その繰り返しはまさにスポーツ小説のような感じがして、胸が熱くなった。今作はそれに加えてギャグパートもあって、まさに笑いあり涙あり、という印象を抱いた。



好きなキャラ

ジルクニフ 2票

→彼の存在が今作の持つどこかダークな雰囲気を和らげてくれている。それどころか吹き出すシーンまであった。実は一番つらい何かを今も抱えてそうで、でもそれを全く見せないところも良かった。

2N 2票

→日常パートでは主人公に謝りたい、好きだ、という感情を抱いているが、それをひた隠しにしている。(読者や、多分その他チームメンバーにもバレているのも良い)戦闘パートでは自分の順位におごらず、むしろまだまだだと言い続け、高みを目指すのも好感を持てた。その理由が後半で描かれてからは、更に感情移入をいて読めた。


嫌いなキャラはおらず、好きなキャラクターに悩む人が多かったです。



好きなシーン

・ベル子宅に行き、みくるちゃんに騙されて、動画配信をすることになるところ。

→ベル子の過去が語られるのがとてもスムーズだったし、それを子どもに語らせることで、幼いながらに経済状況を知っていないといけないという寂しさが表現されていたように思う。


・たくさんあって選べないが、主にジルクニフが出て来るところ

→登場の第一声と、合宿のシーンで主人公帰宅時に、お約束のセリフを言ったところは笑った。


・ルナに春名がスマブラでボコボコにされるところ

→ピカチュウで挑んで、ガノンドロフでボコボコにされるところが、お約束な感じがした。


・主人公が泊まりに行くところで2Nが勘違いするところ。

→会話がずれていく感じも面白かったが、何故か母親が寛容であることも面白かった。



その他意見


・ライトノベルにしては境遇がおもすぎるのではないか? 主人公の過去に至ってはいいが、ベル子の過去については少々都合が良すぎるのではないか?(普段ラノベを読まないので、こういうものなのか)

→一巻で終わらないので、いずれ掘り下げる部分を配置しているのではないか。

→ライトノベルにご都合主義展開を指摘するのはタブー、それに自分は感じなかった。このくらいの重さなら大丈夫。

→シーンではなく情報として配置されているから、前提として存在するからではないか、暗いと思わなかったし、都合が良いとは感じなかった。

→ベル子のことにいたっては、それまでシンタローを奪い合う理由が恋愛的なものだと思っていたが、過去が明らかになることによって経済的理由で、仲間になろうとしていたという真意を出す。真意を話すことによって、仲間意識が強くなるという転換のシーンなのではないか。従来のライトベルなら、恋のライバル位置にいるベル子だが、今作では、境遇がにているというところで仲間として位置付けがされているところが面白い。



・日常シーンでは誰もが、主人公を取り合うのに、戦闘シーンでは全員が敵という同じ方向を向いて、仲間になって戦っているという部分が強調されていた。

→今作品のテーマなのではないか。それぞれ思いはあるけれど、戦いの場では協力しなくてはいけない。これは現実世界での自分たちの生活にも当てはまるきわめて普遍的な、誰しもが直面しなくてはいけないことで、その方法が楽しく描かれているのが今作の魅力でもある。



・今作は主人公が強すぎる気がする。これは俺TUEEEモノ無双系ではないのか?

→主人公1人の力ではないので、俺TUEEEものではない気がする。

→世界一位だけれど、ゲーム自体が死ななければいいものだし、芋プレイで一位とっているわけだから、それに該当しないのではないか



・シンタローが世界一位である必要があったのか、すでに世界トップなら目指すものがない。戦い方的にも地味だし、いきっているキャラクターでもなくて、普通の学生なのに第一位に違和感があった。

→確かにアジア一位、くらいでもよかったのではないか。

→一位を死守する、という防衛の苦しみがFPSゲームにはあるので、それを書きたかった、もしくは今後書いていくのではないか。

→しかし、普通の学生として描くことで、自分たちに近く想像しやすかった。



・2Nとシンタローの関係が、一巻で解決ぽくなってしまったのが、違和感。世界大会後に持ってきてもよかったのではないか?

→ゲームの話を強めるためにこのタイミングにしたのではないか

→こういったタイトルにしたために、仲が良くなる要素を入れ込む必要があったのではないか。

→恋愛要素に発展するのではなく、互いの、昔の蟠りを謝って解決するシーンなのではないか。このシーンを入れることによって、仲間意識が一段と強くなるというシーンなのではないか。

となると、ジルと仲が深まるシーンが唯一なかった。それに唯一過去が明確にされていないチームメンバーなので、これは次巻で解決される部分なのではないか。



今回の読書会の感想

・疑問点や問題視したところが読了時はあったが、読書会で他者の意見を聞いて納得し解決出来た。自分が小説を書くときに活かせる部分が、作品自体にも、読書会にも多くあった。

・わかりやすく、誰も置いていかない読書会だと思った。

・意見を交換しても、すぐに納得するのではなく、なぜか、と問い合いながら、意見をより深くしていけたと思う。

・今回は初めてテーマを決めて行わず、それぞれが感じた疑問や意見を自由に話して、そこで浮かび上がってきたものを一つ一つ議論していった。そのため時間はかかったが、全員が発言して、ああでもないこうでもないと意見が出て、それぞれが深い読書体験をしたように思う。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

気になった、面白そうと感じてくださった方、未読の方は是非こちらからお買い求めください。

また、今作についての感想もお待ちしています。TwitterのDMまたはホームページのお問い合わせからどうぞ!



次回の読書会

7月16日(木)

伊坂幸太郎 著「終末のフール」



21時~23時まで

Zoomを予定。

それぞれの感想や疑問を正直に言い合って、それを深堀りし、意見を交わすことで深い読書体験にしていけたらと思っています。

参加お待ちしています。


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