参加人数 3人
21:00~23:00
目次
・この本を選んだ理由
・全体の感想
・感想
・好きな短編、選んだ理由
・今回の読書会の感想
この本を選んだ理由
終末を前にした世界の人間模様から、現在の状況に対して学べるものがあるのではないかと感じたから
全体の感想
・伊坂作品の中では好きな作品だった。(四作ほどしか読んでいない)
・設定が良いと思った。収まってきたところというのが良い。
・終末もののお約束を描きつつも、それぞれの苦悩をしっかり描けているように感じた。
・終末というデカいものを持ってきていることによって、大きな展開がない。ただその代わり、流れている空気が一定なのがいい。前提条件を読者に早い段階で理解させることで、そこで生きているキャラクターの細部にすぐに着目させたのが上手かった。
・この後落ちても落ちなくても、気持ちの良い読後感だった。隕石は落ちなかったが、話は落ちた。
・最後の映画のラストシーン感。影を帯びている世界が、雲の切れ間から晴れ間がさして明るんでいく感じが、良い読後感を演出していた。
・作中はバッドエンドは読者の読後感は良い。
・三十分くらいの、Hulu限定ドラマで一話一話やってほしい。最後の櫓づくりのおじさんは佐藤浩市にやってほしい。
・ここが伏線だったのか、と、思ったときのアハ体験があった。
・別の短編のキャラクターのその後を、別の短編で見ることが面白かった。
・セリフの使い方が勉強になった。たくさんあってもよいというのは意外だった
好きな短編、選んだ理由
終末のフール
・終末でなくても、成立するのではないか?
→要素としては成立するけれど、別物になる。全員がいっぺんに死ぬという状況下で、既に別のことで一人無くした家族が許す物語、という醍醐味の根底が崩れる。
ゆっくりと読者に、特異な状況をシーンで説明しているように感じた。
太陽のシール
→この設定で出てきやすい問題であると感じた。ただこれが一番最初の短編でよかったのではないか。
鋼鉄のウール
→コロナのタイミングで読んでよかった作品。どんな状況下でも変わらずに、自分をたもつという設定は、面白い、キックボクシングで切り開いていく感じも面白かった。
本来であればむさくるしさを感じるが、どんよりした状況が相まって、それがいい方向に働いた。人が減った世界で、ミットを蹴り続ける苗場さんが、力強く思えた。
今作で一番力強い質感を抱いたし、この並びでよかった。
→スポ根ものが来て、一瞬違和感があった。
冬眠のガール
→終わりゆく世界で目標を決めて生きていくというテーマが良かった。クリアしても、また目標が増えていき、どこか感覚がマヒして、動いている感じがいい。
→多分この世界線じゃなくても変なやつ。
→ラストシーンで、物語的に笑える唯一の作品だった。
→オチが無理やりに感じた。普通なら二番目の家庭教師とくっつくのではないか。180Pの最後がた、ではなく、る、で終わっていることによって敢えてのはぐれの悪さを演出している。この後を読者に考えさせる工夫。
演劇のオール
→これこそこの世界でこそ描ける物語。条件が変わっていく面白さ。恋人姉妹母親、娘を演じるのは、この世界で、親子関係がある程度失われたからこそ、出来るのではないか。
→最後の全員集合したときのカタルシスはすごかった。一人じゃないという安心感、主人公が抱えていた不安の解決。
役者になりたいと思っていたけれど、挫折、世界終わる、家族が死ぬ。おばあちゃんの娘がわりになれない、恋人の昔の恋人を越せない、母親代わりになろうとしても偽の母親と言われる、上手く演じられない、もしかして自分は孤独ではないかという寂しさから、不安に陥る。それらが全員集合によって、好転することにカタルシスがある。
読書会の感想
・議論を交わすというよりは互いの意見を尊重して、どんどん出していく感じがアットホームでよかった。
・それぞれの章ごとに様々なテーマがあって、一作品でも二時間できるのではないかと思うほど、ボリューミー。全短編やりたかったが時間が足りず、残念。次回からの短編集の扱いに期待。
・今回は読書会のメンバーは少なかったため、意見を交わして発見があるというよりは、確かに、と納得する瞬間が多かった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
気になった、面白そうと感じてくださった方、未読の方は是非こちらからお買い求めください。
また、今作についての感想もお待ちしています。TwitterのDMまたはホームページのお問い合わせからどうぞ!
次回の読書会
7月30日(木)21:00~23:00
白鳥士郎著 イラスト しらび 監修西遊棋「りゅうおうのおしごと!①」
21時~23時まで
Zoomを予定。
それぞれの感想や疑問を正直に言い合って、それを深堀りし、意見を交わすことで深い読書体験にしていけたらと思っています。
参加お待ちしています。
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